醤油ではない醤油?「しろたまり」
最近、よほど醸造方面に縁があるのか、しろたまりを仕込むワークショップに参加させていただきました。
愛知県の日東醸造さんによるワークショップでしたので、愛知の醸造文化を中心とした話でしたが、知らない土地の知らない文化のことに大いに好奇心が刺激されました。
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愛知の独特な醸造文化
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愛知と言えば、600年もの歴史を持つ豆みそ、通称・八丁味噌がありますが、これは大豆と塩のみで作ったみそです。これが元となってたまりしょうゆが誕生したり、しろしょうゆが誕生したりしたそうです。
知多半島から三河周辺は今でも醸造が盛んなところなのだそうですが、古くは知多半島には200を数えるほどの酒蔵があったとか。
かつて知多半島の河和からさらに先へ仕事で行ったことがあるのですが、にわかには信じられません。
とにかく、昔は大阪から江戸へ向かう船が、風待ち港として知多に停泊していたそうですから、商業地としてもそれなりに栄えていたのでしょうか。
そんなとき、あるとき江戸で握り寿司なるものが流行している(それまでの寿司といえば、乳酸菌で発酵させた保存食で、バッテラ寿司とか棒寿司とか、いわゆる押し寿司でしたので、この握り寿司というのが江戸前ですね。)と知った中村さんが、粕酢(酒粕からつくった酢。)を江戸に持って行って大繁盛。これがミツカン酢の始まりだとか。今でも代々社長は中村又左衛門の名を襲名しているそうです。
酒粕は、日本酒造りの際の副産物で、今だに良い活用方法を見出せず困っている酒蔵さんが多く、私も実際にご相談をいただいています。
ですので今回の醸造つながりの脇の話が刺さりました。入浴剤として利活用できないものかなぁと考えていたのですが、粕酢という言葉を聞いて、なんだか考え直してみたいと思いました。
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しょうゆは5種類に分けられている
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さて、前置きが長くなりましたが、「しょうゆ」はJAS法で5種類に分けられているということはご存知でしたか?
「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類で、これが生産量の順です。それぞれ麹の大豆と小麦の割合や仕込み期間などが異なり、塩分濃度も異なります。色が薄く、仕込み期間も2〜3ヶ月の「しろ」は実は塩分濃度が高く18%もある一方で、色が濃く、仕込み期間も2〜3年もかかる「たまり」の塩分濃度は11〜12%です。ワークショップでは、これら5種類の醤油の味見をすることができるという貴重な機会を提供してくれました。 ここで、豆知識。たまり醤油は、小麦不使用のため、グルテンフリー醤油として、ヨーロッパから注文が増えているのだそうです。しょうゆ全体の生産量のうち、わずか2%ほどしかなく、先に記載したとおり仕込み期間も2〜3年と長いため、海外からの注文に対して、文字通り年単位で待ってもらえないと納品できない、という会社もあるそうです。
そのほか、よく目にする「減塩しょうゆ」というものがありますが、これは旨味成分はそのままで塩分だけを減らしているものです。しかし、醸造の過程で塩分を減らすと発酵のスピードが変わってしまい、仕上がりが全く変わってしまうため、実は、通常通りのこいくちしょうゆを作ったあとに、塩分だけを抜き取るということを行なっているそうです。
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しょうゆではない「しろたまり」
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しょうゆの歴史は長くとも、しろしょうゆの歴史で100年、しろたまりはまだ25年ほどの歴史しかないそうです。
しろたまりの特徴の一つは、美しい薄い色合いですが、これは小麦100%の麹を使用しているからです。しかし、実はJAS法でいう醤油の定義では大豆を使用しなければならないことになっているため、「しょうゆ」を名乗ることができなくなってしまったという経緯があります。止むを得ず、品名を変更し、小麦醸造調味料として販売をされています。ちなみに、色が濃くならないように麹と仕込み塩水の比率も通常の醤油の比率とは変えているそうです。
そして、もう一つの特徴は、原材料に焼酎が入っているということです。これは、製造工程で火入れをしていないため、焼酎を合わせてアルコールを高めることで発酵が進んでしまうことを防ぐための手段だそうです。常温流通となりますので、発酵がどんどん進むと途中で爆発することは想像に難くありません。
アルコール濃度がどの程度なのか質問すると、2%ということでした。アルコールが1%を超えると酒税法の対象になるのではないのですか?と質問したところ、塩が入っているので対象外なのだそうです。本みりんはゴクゴク?飲めてしまうので酒税法の対象ですが、みりん風調味料は酒税法の対象とならないように塩なんかも入って作られているということで、なるほどそういうことか!と。
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しろたまりレシピ
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質問をしているうちに「料理をされるのですか?」と聞かれ、「酒のつまみ専門です」と回答すると、とっておきのつまみを教えてくださいました。
蒸しだこをぶつ切りにしたものに、しろたまりとごま油を1:1で合わせたものと和える。これだけだそうです。ビールに合いますよ!とのこと。
もう一つのオススメは、アボカド×しろたまり。なんとなく想像できる感じです。こいくちを使うのとは違って、なんか上品な感じに仕上がりそうですね!
そのほか、納豆のたれとして、あるいは卵かけご飯に使うのもオススメだそうです。納豆は、豆の風味が損なわれることなく美味しくいただけるそうです。
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満足度120%のワークショップ
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約3ヶ月後、お盆の頃が出来上がり時期だそうです。
とても楽しみです!!